メジャー? マイナー? どっちつかずでもJust The Two Of Usだねって話

アイキャッチ:コード コード
picture by Daria Obymaha, Pixabay

オシャレな曲、書きたいですよね?(確認)

私は書きたいです。

とはいえ「急にオシャレとか言われても…、シャレオツJazzyな感じとかどうすればいいか全然わからないよ」という方も結構いるのではないでしょうか。

というわけで、近頃なにかと耳にすることの多い(であろう)「Just The Two Of Us 進行」というものについて、少し触れてみたいと思います。

※ここでは「Cメジャースケール」を基準に話を進めていきます。また紹介する楽曲についても「Cメジャースケール」に置き換えて説明しますので、ご了承ください。

いわゆる「おしゃれコード進行」のド定番

調性に曖昧な感じの漂う、どこか浮遊感のあるコード進行、いわゆる「Just The Two Of Us 進行」。

元々はGrover Washington Jr.が1980年に発表したアルバム『Winelight』に収録されていた同名の楽曲で、終始リフレインして使用されていることから、この名前がついています。

邦楽では椎名林檎の楽曲『丸の内サディスティック』で使用されているものが特に印象的なことから、「丸サ進行」という呼び方もされています。

その他にも『宝島』/T-SQUARE、『つつみ込むように…』/MISIA、『夜に駆ける』/YOASOBI etc.、年代やジャンルを問わず、数多くの楽曲に用いられています。

「Just The Two Of Us 進行」の概要

基本パターンは主に3つ

「Just The Two Of Us 進行」と一口で言っても、バリエーションはいくつかあるので、中でも代表的なものを3つ紹介します。

① FM7 – E7 | Am – Gm7 – C7 |(FM7)

本家『Just The Two Of Us』で、のっけから使用されているのがこちらのパターンです。とにかく一番ダイナミックに調性が変化します。

② FM7 – E7 | Am – C |(FM7)

調性が平行調(CメジャーとAマイナー)を移動するのみのパターン。変化の度合いの感じ方は一番小さく、続いて①または③に進行、となるケースが多く見られます。

③ FM7 – E7 | Am – C7 |(FM7)

『丸の内サディスティック』で多用されている方の進行がこちら。調性の変化の度合いは「②より大きく①より穏やか」という感じで非常に洗練されているため、個人的には一番「使いやすい」進行です。

2つのドミナント・モーション

どのパターンも、必ず最後にサブドミナントであるFのコードに帰ってくる、という特徴があります。

また E7 → Am という平行調(Cメジャーに対するAマイナー)のドミナント・モーション、C(C7)→ FM7 というFを主音(トニック)とみなしたドミナント・モーションという、2つのドミナント・モーションが入ります。

なお、そのどちらのドミナント・モーションも「主音(トニック)であるCに対するものではない」というのが一つポイントで、主音(トニック)であるCへの「骨太で力強いドミナント・モーションではない」からこそ、メジャーとマイナーの隙間を縫うような独特の浮遊感が生まれてきます。

めまぐるしく変化する調性

後半部分は、Fを仮の主音(トニック)と見なしたとき、C7をセカンダリー・ドミナントとする 2-5-1 の進行 Gm7→C7→FM7 となります。

Cメジャーキーの主音(トニック)であるCが、C7(7の音はシ♭で、Cメジャースケールには無い音)として「ドミナント」に変化し機能することで、一気に調性が曖昧になります。

調性がCメジャー→Aマイナー→Fメジャー→Cマイナー…と、めまぐるしく転調するかのような変化こそが、オシャレで浮遊感のあるコード進行「Just The Two Of Us 進行」の正体です。

使い方のポイント

とにかくずっとループ

本家の『Just The Two Of Us』でも、多少のバリエーションは交えつつ、基本的にはずっとリフレインします。

とにかく「飽きないコード進行」という強い武器のおかげで、エレクトロ・ミュージックに代表される、ループを基本とする音楽との親和性も非常に高いです。

3つのパターンを織り交ぜる

YOASOBIの代表曲のひとつである『夜に駆ける』のAメロでは、前項のパターン②→①と進行していきます。

特に Gm7 → C7 → FM7 と進行する 2-5-1 の箇所は、平行調(CメジャーからAマイナー)に移る FM7 → E7 → Am よりも調性が一気に曖昧になるので、よりオシャレさが引き立ちます。

3つのパターンを織り交ぜて起伏(緩急)をつけることで、より機微に表現することができます。

「王道進行(4-5-3-6)」との組み合わせ

いわゆるJ-POPの王道進行 F → G → Em → Am と組み合わせるパターン。

例:FM7 – G | Em7 – Am | FM7 – E7 | Am – Gm7 – C7 |(FM7)

どちらのコード進行もサブドミナント(F)のコードから始まるため、この組み合わせは非常に親和性が高いです。

 

昔からあるのに古さを感じない、逆に最新のヒット曲の要にもなっているコード進行なので、「まだ使ったことないよ」って方は一度お試しを。ちなみに私もこの曲のBメロ 3-4小節目で使用しているので、ぜひ聴いてみてネ♪(唐突な宣伝)

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