ドミナントモーションって結局何なの?
皆さんは普段からドミナント・モーションしてますよね?(確認)
「お前は何を言っているんだ?」と思った方、ピアノの伴奏に合わせて「起立・礼・着席」をしたときのことを思い出してみてください。
この時の「礼→着席」の和音(コード進行)がドミナント・モーションです。
多くの人は、「起立・礼」の後いつまでも「着席」の音が鳴らないと落ち着かないと思います。
ドミナント・モーションは、この「落ち着きたい力」のことをいいます。
落ち着きたい気持ちの正体
さて、この「礼」のままだと落ち着かない気持ちの正体は何でしょうか。
それは、ドミナント(G7)の中に含まれている「ファとシ」の音です。
(※記事中はCメジャーキーを基準とし、「礼」の音をV7(G7)として記します)
ファとシの音は「増4度」の関係といい、この2音はとても不安定な響きを持っています。ピアノなどで弾いてみると、その不安定さがよくわかります。
またこの増4度の響きには一つ特徴的な性質があり、「それぞれの半音下と半音上に落ち着こうとする力を持つ」というものです。
つまり「“不安定な状態(ファとシを含むG7)”から“落ち着いた状態(ミとドを含むC)”になりたい」という音楽的な性質が、ドミナント・モーションの正体というわけです。
ところで、よく聞く「裏コード」って結局何なの?
ドミナント・モーションの話になると、必ずと言っていいほど出てくるのが「裏コード」という言葉ですね。
当然「何が裏なの?」という疑問が出てくると思います。
上は『5度圏』の図といって、時計回りに「5度上の音」を表し、12音でちょうど一周しています。
「裏コード」というのはまさに「『5度圏』の真裏にあるコード」のことを指します。
例えばG7のコードであれば真裏のD♭7がそれにあたり、CメジャーキーのドミナントであるG7と同じ働き(Cのコードに落ち着きたくなる)をします。
なぜCメジャーキーから最も縁遠く見えるD♭7が、ドミナントであるG7と同じ働きをするのか、それは次の五線譜を見てみてください。
2つのコードには、共通する増4度の音(ファとシ)が含まれています。
先に書いたように、この2音はコードの性格を決める音であり、(Cメジャーキーにおいて)ファは半音下のミ、シは半音上のドに落ち着こうという力が働きます。
つまり、Cメジャーキーでドミナントとして扱うD♭7については、「ファとシは性格を決める音」で、「レ♭とラ♭は響きを決める音」と役割が分けられます。
「起立・礼・着席」はもっとエモーショナルでもいいのでは?
ところで皆さんは、そろそろ普通の「起立・礼・着席」に飽きてきた頃じゃないですか?
そこで、上記を元にリハーモナイズ(コード進行をアレンジ)したパターンを作ってみました。
さすがエモーショナル、全く落ち着きません。
クラスで浮いた子にならないよう、リハーモナイズは用法・用量を守って行いましょう。
コメント
[…] ドミナント・モーションについては別の記事でも書いているので、詳しくはこちらもご覧ください。 […]