スピーカーのエージングは効果があるの?って話

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皆さんはスピーカーのエージングしてますよね?(弱気)

ちなみに私はやったことがありません。というのも「音の広がりが劇的に変化した」「音が非常に豊かに感じられる変化」などどうも眉唾なレビューが多いのと、エージングをするほど高いスピーカー持っていないのでやる意義をあまり感じない、という2点の理由からです。

ということで、いままで避けてきたエージングというものについて、改めて多少懐疑的な目で調べてみたいと思います。

そもそもエージングって何?

エージングとは「スピーカーから音を一定時間流す」こと

一般的にエージングと呼ばれる作業を行うと部品が馴染んで音が良くなる、と言われています。

やり方は非常に簡単で、「一定時間(一般的には十数時間から100時間程度)スピーカーから音楽を流し続ける」という、ただそれだけです。はい。

流す音楽のジャンルなどは特に制限がないようですが、特定の帯域だけでなく、高音域から低音域まで割と広い音域をカバーしているもの(クラシックなど)の方が理想だそうです。

だから「馴染ませる」って結局どういうことよ?

はい、そうなんです。

この部分が非常にわかりにくいので、今までその効果に対して懐疑的に思っていました。この「馴染ませる」というのがどういう変化のことを指すのか、音にどのような影響を与えるのか、もう少し掘り下げて調べたいと思います。

エージングをすると何が起こるの?

スピーカーは振動によって音を発する装置

まず、一般的なスピーカーの内部を見てみると、「電磁石の原理によって上下するコイルの動きを振動としてコーンに伝える」という、実は原理自体は非常に単純な構造です。また箱のサイズや穴の位置は、音域や倍音などの抜け方がスピーカーの用途によって個々に調整されています。

スピーカーのエージングって効果があるの?

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しかし、この振動するコーンがもしスピーカーの箱側と完全に固定されていると、コイルの上下によって発生した振動が殺されてしまいます。例えるなら「ギターの弦をフレットから少し浮かせて弾くと音が全然響かない、まるでギター初心者がFコードで挫折するときの響き」のようなものです。

そうならないように、このときコーンとスピーカーの箱側で双方をつなぎとめるのが「エッジ」と呼ばれる、弾力のあるゴム製の部材になります。

変化をするのは主に「エッジ」と呼ばれる部分

エージングと呼ばれる作業によって起こる変化の正体は、コーンとスピーカーの箱との間に使われている「エッジ」と呼ばれるゴム素材が長時間の振動で徐々に柔軟性を持ち、振動の仕方が均一になることで、発振される周波数が安定して音が良くなる、ということのようです。

スピーカー「エージング」の科学的根拠 : ジャズ&オーディオ通信(from USA)
アメリカのオーディオ雑誌『ステレオファイル』の最新号に、ちょっとおもしろい小ネタ記事が載っていた。オーディオファイルの間では、スピーカーは新品で箱から出したばかりのときには実力を発揮しないことが「通説」になっている。音が硬く、表現に生気がなく、低音が伸び

確かに「基盤やコイルを固定しているネジや接着部分が馴染みます」なんて言われると、「それ、単にガタがきてるだけじゃね?」ということになりますからね。

本当に音は良くなるの?

効果を体感できるかは個人の聴覚能力次第

言い切ってしまうと「DTM(音楽)初心者には違いが絶対にわからないし、初心者じゃなくても多くの人はわからないと思う」です。

ただし、聴覚能力においてある種の「ゾーン」に入っている人達からすると、その違いは歴然なのかもしれません。裏を返せば、「ゾーン」に入る程の耳の感覚を持っていない限り、その恩恵にあずかることは難しいのだと思います。

あとプラセボ。

別に“音が凄く良くなる”わけではない

誤解を恐れずに言えば、メーカーは「製造後すぐの状態」と「長時間駆動させた状態」での音響特性試験を両方行っているはずなので、エージングという行為の有無における音響特性の差異はメーカーの想定する範囲内のことであって、エージングをしたから「メーカーが想定する以上に音響特性が変化する」ことは起こりえない、ということです。

メーカーとしても「エージングをしないと本当の性能は発揮できません」なんていう商品をリリースするわけがないですからね。

結局エージングは必要なの?

エージング=耐久時間の前借りでもある

スピーカーというのは物理装置なので、駆動すれば必ず劣化をしていきます。スピーカーももちろん例外ではなく、工業製品である以上は寿命があります。

とはいえ、寿命が訪れるン万時間のうちのたった数十時間と考えれば誤差の範囲かもしれません。

長い時間放置すれば、状態は元に戻る

先ほども書いたように、エージングによって起きる一番の変化は「ゴム素材の柔軟性」です。1・2日程度ではもちろん何の問題もないでしょうが、あまりに長時間スピーカーを使用しない状態が続くと、せっかく変化したゴム素材の特性が元に戻ることは充分考えられます。

※ゴム自体は他の部材に比べて劣化しやすい素材なので、「製造時のように戻る」ではなく「硬く変化する」という意味です。

キチンと調整したと自信を持てる機材は信頼して使える

おそらくエージングという作業において一番大きいのはこの部分だと個人的には思っています。

自分がきちんと手を入れて調整した道具というのは愛着も湧き、良い仕事をする上で心待ちがプラスに働くのは間違いありません。

まあ、私はやりませんけどね

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